施政方針
令和7年度の1年間の市政運営に対する基本的な考え方について述べた基本施策(施政方針)について,7つの基本方向に沿って下記のとおり掲載いたします。
市では,この基本施策に基づいた行政運営を行います。
1 豊かな自然 活力ある農村 未来に向けて発展するまちづくり
本市は,県内有数の農業立市であり,南の「食糧供給基地」として,今後も豊かな自然と活力ある農村づくりを進めていくため,各般の施策により農業の振興に努めます。
農業経営基盤の強化
効率的かつ安定的な農業生産性の向上を図るため,農地再整備による大区画化などを推進するとともに,多面的機能支払)交付金事業を活用しながら,農業用施設の長寿命化対策,農用地,農道,農業水利等の保全管理及びその活動支援に努めます。
また,優良農地を確保していくため,耕作放棄地の発生防止と,解消に努め,農地中間管理事業を通じて,担い手農家等への農地の集積・集約化を推進します。
さらに,多様な担い手を確保していくため,新規就農者の確保及び支援体制の強化に取り組むとともに,地域農業を牽引する認定農業者や集落営農組織,小規模な兼業)農家等を育成,支援し,農家の所得向上や地域の活性化を図ります。
生産流通体制の強化
良質堆肥施用による健全な土づくりや農薬の適正使用等による環境保全型農業の推進など,消費者に信頼される産地づくりに努めるとともに,定期的な販売促進キャンペーン・PR活動を継続し,農畜産物のさらなる消費拡大を図ります。
また,サツマイモ基腐病の被害軽減に向け,健全なバイオ苗生産供給体制の拡充や残渣処理場の設置などの対策を講じ,本市の基幹作物であるサツマイモ生産の安定化を図ります。
さらに,台風等の気象災害や有害鳥獣による農作物への被害対策も引き続き講じます。
茶業の振興
全国トップクラスの生産量を誇る一大ブランド産地の強みを活かしながら「安全・安心でクリーンな茶づくり」を基本に,消費者が求めている高品質茶や有機栽培茶,海外需要が高まっている有機碾茶の生産を国・県と連携し,積極的に取り組みます。
また,お茶の消費拡大対策として知覧茶ブランドの地位向上を図ると共に,若者に向けたお茶のある生活の提案やインバウンド向けの魅力あふれる知覧茶の情報を効果的に発信します。
畜産業の振興
競争力のある生産基盤の強化を図るため,優良畜種の確保や市内で生産された小牛の導入促進,ヘルパー制度による労力低減支援に取り組みます。
また,高病原性鳥インフルエンザや豚熱などの悪性家畜伝染病対策については,生産者と関係機関との緊密な連携による,地域ぐるみの防疫体制を引き続き推進し,発生及び侵入・まん延防止に努めます。
林業の振興
森林の多面的機能を持続的に発揮し,豊かな森林資源の保全と活用を推進するため,森林環境譲与税を活用した森林経営管理制度に取り組み,担い手の育成や森林施業の集約化を図りながら,適正な伐採と再造林の確保,治山対策など,森林資源の管理・利用に努めます。
2 魅力と活力にあふれ にぎわうまちづくり
次に,「魅力と活力にあふれ にぎわうまちづくり」について申し上げます。
商工業の振興
中小企業及び商工会と連携を密にし,商店街が抱える課題解決への支援,創業・事業承継の促進,特産品の振興,買い物弱者対策など,社会経済情勢の変化に応じて適切な施策を実施するとともに,国指定の伝統的工芸品である川辺仏壇の産業振興を積極的に支援します。
水産業の振興
漁港の機能保全や水産資源の増殖など,県と連携しながら魅力ある漁業環境整備を推進します。
ふるさと納税の推進
地域資源を活用した魅力ある返礼品の開発とPRに努めるとともに,寄附者,返礼事業者との良好な関係性の構築に努めます。
企業立地の推進
地域経済の発展につながる新たな雇用の場の確保のために,様々な業態の企業誘致を図るとともに,地元企業の認知度を高め,適切なマッチングにより,若者が地元で働ける環境整備に努めます。
観光の振興
「稼ぐ観光戦略」として,本市への滞在時間延長による観光消費の拡大に主眼を置き,観光資源の磨き上げや,インバウンド需要に対する体制整備を図ります。
また,地域の多様な関係者と連携し,各種データの収集・分析,戦略の策定など,地域の稼ぐ力を引き出す明確なコンセプトを持った観光地域づくりを推進するため,DMO設立に向けた準備を進めます。
国内交流
福岡県北九州市,佐賀県小城市,青森県平川市との交流都市と観光や教育分野での交流事業を引き続き展開し,産業面なども含めて更に連携,発展できる方策を講じます。
国際交流
市内での外国人の増加を踏まえ,文化交流等を通じた国際理解の醸成を推進し,豊かな地域社会の形成を目指します。
3 人と物が行き交い快適で暮らしやすいまちづくり
次に,「人と物が行き交い快適で暮らしやすいまちづくり」について申し上げます。
道路
豊かな市民生活や活力ある経済・社会活動を支える最も基礎的なインフラであり,安全・安心なまちづくりや活力ある地域社会の形成,交流活動を推進するためには,道路交通体系の整備は重要な取組です。
市道
市民の日常生活に最も身近な生活基盤であることから,道路交通の利便性,安全性を考慮しながら計画的な整備に努め,維持管理については,地域住民との協働により進めます。
市道橋
橋梁長寿命化修繕計画に基づいて,老朽化した橋梁の補修を計画的に実施し,長寿命化を図ります。
また,重要な幹線道路である国道・県道の整備についても,国及び県に積極的に働きかけを行い,広域的な交通体系確立のための整備促進に努めます。
公共交通の取組
交通弱者の日常生活に必要な移動手段を確保するための公共交通の取組については,ひまわりバスの継続運行に努めるとともに,運転手等の人材不足の課題を解決するために,AIデマンド交通の導入を見据えた運行形態への転換を図ります。
また,路線バスや鉄道といった他の公共交通においても同様の課題を有していることから,地域が求める交通体系の在り方を関係各所と連携して取り組みます。
市街地の形成
だれもが安心して快適に利用しやすい生活空間の確保に努め,各地域のさまざまな個性を反映するとともに,新たな社会情勢の変化に対応した,南薩の中心地としてのまちづくりに努めます。
市営住宅
長寿命化計画に基づく屋根及び外壁等の改修工事を実施し,快適な住環境の維持管理に努めます。
また,本年度より青戸団地の敷地造成工事に着手するなど住環境整備を計画的に進めます。
公園の整備
川辺新町公園の整備をはじめ,各施設の長寿命化計画に基づく改築・更新を進め,市民が安全・安心に利用できる憩いの場,子育て世代にやさしい公園整備に努めます。
移住・定住
新たに「移住定住促進係」を設置し,知名度向上を図るための情報発信に努めるとともに,移住希望者に選ばれるまちとなるよう官民連携によりきめ細やかな受け入れ体制を構築し,人口減少に対する取組を加速させます。
自治体DX
「書かないワンストップ窓口」の構築や,電子申請の拡充による,「書かない」「待たない」「行かない」窓口を実現し,市民の利便性向上,行政サービスの効率化を図ります。
また,デジタルデバイドを解消する取組を通じて,誰もがデジタル社会に恩恵を受けられる社会の実現に努めます。
4 安全で安心して住みやすいまちづくり
環境保全対策の推進
引き続き温室効果ガス排出の削減に取り組みながら,市民・事業者等の環境に対する意識の醸成に努めます。
2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」への取組については,本年4月に稼働予定の「黒木山太陽光発電所」による公共施設への自然エネルギーの供給や,EVスタンドを整備するなど,市民・事業者等とともに地球温暖化対策や脱炭素社会実現に向けた取組を進め,再生可能エネルギーの導入や省エネルギー対策を推進します。
生活環境の向上及び公衆衛生の推進
環境基本計画等に基づき,日常生活に係る環境・公衆衛生の保全に努めます。
また,引き続き,指宿広域市町村圏組合及び南薩地区衛生管理組合と連携し,ごみの適正処理や排出量の削減を図ります。
なお,新ごみ処理施設「なんさつECOの杜(もり)」の供用開始に伴い,廃炉となった内鍋清掃センター及び川辺清掃センターについては,法令等に基づき適正に解体します。
公共用水域の水質保全及び生活環境の改善のため,合併処理浄化槽の普及促進を図り,汚水処理人口普及率の向上に努めます。
また,公共下水道事業についても,新庁舎周辺の区域変更を検討します。
水の安定供給
水道事業については,安全・安心な水を効率的に安定して供給するために,水道水質の管理,施設の適正な維持管理を図るとともに,老朽管路等の更新と併せ,管理体制の強化を進めます。
また,経営戦略の改定を行い健全な事業運営に努めます。
総合的な消防・防災体制の充実
指宿南九州消防組合と連携のもと,それぞれの地域に合った自助・共助による防災活動を促進するため,自主防災組織及び消防団活動の充実を図り,市民の生命と財産を守るため災害対応力の強化や地域防災力の向上に取り組みます。
また,自然災害のあらゆるリスクを見据えつつ,最悪な事態に陥ることのないよう,市国土強靭化地域計画や市地域防災計画に基づき,自然災害にも対応できる地域づくりを進めるとともに,「災害救援マップ」等を活用し,迅速な緊急情報や避難所開設情報の伝達に努めます。
空き家の問題
年々,増加していく空き家の問題については,空家等適正管理支援事業の拡充により,老朽化した危険な空き家等の除却を促し,活用可能な空き家については,地域活性化に向けて利活用を推進するなど,安全・安心な住環境づくりに努めます。
交通安全・防犯体制の強化
南九州警察署をはじめ関係機関と連携して,市民の安全確保が図られるよう啓発活動やパトロールを推進し,安心して生活できる環境整備に努めます。
消費生活環境の充実
多様化する被害を未然に防止できるよう,出前講座による消費者教育を充実させるとともに,引き続き相談対応を行いながら,市民生活の安寧を図ります。
5 みんなで支え合い いきいきと健やかに暮せるまちづくり
次に「みんなで支え合い いきいきと健やかに暮らせるまちづくり」について申し上げます。
地域保健・医療の充実
人生100年時代を迎えようとする現在,新たに策定した第2次健康増進計画を基本として,健康寿命の延伸を目指し,関係機関と連携を図りながら生涯を通じた心と体の健康づくりを推進します。
子育て支援体制の強化
第3期子ども・子育て支援事業計画に基づき,安心して子どもを生み育てることができるまちの実現のため,子育て支援センターをはじめとする各種事業を実施します。
また,これまでの出生祝い金に加え,新たにウエルカムベビーチケット助成事業としておむつなどの育児用品購入費用の助成を行うとともに,小学1年生に対して入学祝い金を支給するなど,子育て応援施策を強化します。
さらに,児童手当の拡充や所得に関係なく全ての高校生まで窓口負担がゼロになる子ども医療費,学校給食費の無償化など,子育て世帯に対する経済的支援のさらなる充実を図ります。
親子が気軽に集える「地域子育て交流館」の活動を継続するとともに,「子ども家庭総合支援拠点」と母子保健との連携を深め,虐待など課題を抱える子どもと家庭への支援体制の強化を図ります。
母子保健サービスの充実
多様化,複雑化する子育てに対応するため,妊娠期から子育て期にわたるまで,切れ目のない支援を提供する相談体制と,「妊婦のための支援給付交付金事業」による経済的支援を一体的に実施するほか,不妊治療や養育医療の助成,産後ケア事業を推進します。
保育サービスの充実
希望者全員が保育サービスの提供を受けられるよう,受入れ体制の充実に向けた保育士の確保や保育所等の施設整備を推進します。また,病児保育事業をはじめ,放課後児童クラブの充実など,働く保護者のニーズに応え,子育てしやすいまちづくりに努めます。
高齢者福祉
高齢者が住み慣れた地域でいきいきと安心して暮らせるよう,給食サービスや生活支援サービスなどの在宅福祉サービスの拡充を図るとともに,就労機会の確保に努め,社会参加を支援します。
介護保険事業
できる限り住み慣れた地域や家庭で自立した生活を維持できるよう第9期介護保険事業計画に基づき,自立支援,介護予防・重度化防止に向けた各種事業に取り組みます。
また,人材確保対策として,介護職員初任者研修の開催や新規就職者及び継続就労者への支援金の給付などを行います。
介護予防
「新しい認知症観」を推進するとともに,高齢者が介護状態にならないよう介護予防に関する知識の普及・啓発や地域活動の育成・支援等を実施し,地域に根ざした予防活動・互助活動を含めた地域づくりを展開します。
障害者福祉
第7期障害福祉計画及び第3期障害児福祉計画に基づき,障害者の個々に応じた多様な働き方への支援や,保健・医療・福祉サービスの充実を推進し,働きがいや生きがいのある生活を送れるよう,地域共生社会の実現に努めます。
地域福祉社会の充実
第2次地域福祉計画に基づき,市民一人ひとりが福祉の受け手であり,担い手であるという「地域での支え合い意識」を育て,住民,諸団体,行政が協働し,誰もが安心して住み続けられるまちづくりを推進します。
低所得者福祉の充実
生活に困窮する人に対し必要な支援を行い,最低限度の生活を保障するとともに,個々に応じた自立促進に努めます。
6 心の豊かさと創造力を育む教育・文化のまちづくり
次に,「心の豊かさと創造力を育む教育・文化のまちづくり」について申し上げます。
学校教育の充実
1人1台端末の積極的な活用や個に応じたきめ細かな指導の充実などを通して,学力向上を図ります。
不登校・いじめ問題については,学校及び関係機関との連携を一層充実させ,その解消に努めるとともに,郷土のよさを生かした「学びのグレードアッププロジェクト事業」を中心に,地域に開かれた活力ある学校づくりを進めます。
また,中学校部活動の地域移行については,本市の実情に合った部活動の在り方を検討しながら進めます。
学校給食
地場産物を活用した献立の充実を図りながら,安全・安心な給食の提供に努めるとともに,望ましい食習慣や生命及び自然を尊重する精神の涵養(かんよう)に努めます。
学校教育施設
計画的に校舎,屋内運動場及び屋外運動場の改修を実施し,安全・安心な教育環境を保持するための施設整備を進めます。
また,小学校の統廃合については,保護者や地域住民の意向も踏まえ,十分な理解と協力を得られるよう丁寧に進めます。
社会教育の充実
社会教育施設の機能の充実と有効活用を図るとともに,社会教育関係団体等と連携しながら地域学校協働活動をはじめ,その推進体制の充実に努めます。
生涯学習の推進
市民のニーズを的確に捉え,講座メニューの充実を図り,より多くの市民が学べる生涯学習推進体制を構築します。
生涯スポーツの推進
体育施設の機能の充実と有効活用を図るとともに,スポーツ関係団体と連携し,日常的にスポーツに親しめる機会の提供により,市民の心身の健康増進に努めます。
地域文化の振興
南九州市文化財保存活用地域計画に基づき,「知る」・「守る」・「活かす」のアクションプランに沿って文化財の保存・活用を図ります。
歴史的文化遺産や伝統文化の保護・継承活動の充実を図るとともに,文化財の大切さを次世代に伝えるために,展示や公開などを通じた普及・啓発活動に取り組みます。
また,文化財の整備を行うとともに積極的な活用を図り,様々な分野と連携しながら,新たな社会的・経済的価値の創出に繋げます。
市内高等学校の活性化
英語検定や技能資格などの取得やPR活動などを支援し,高等学校の魅力化を進めるとともに,地域・高校と調整を図りながら,令和8年度から県外からの入学生を受け入れるための環境・制度を整えます。
平和を語り継ぐ都市の実践
戦後80年を迎えることから,姉妹館盟約を締結している戦艦ミズリー記念館と連携して国内外に情報発信していくとともに,知覧特攻平和会館においては,特攻に関わった方の証言映像や知覧特攻基地周辺を再現したジオラマ「知覧の空」を公開するなど,改めて過去の悲惨な戦争の歴史を多くの方に知っていただき,平和と命の尊さについて語り継ぎ,世界の恒久平和に貢献します。
7 みんなで創る協働と自立のまちづくり
次に,「みんなで創る協働と自立のまちづくり」について申し上げます。
地域コミュニティの充実
少子高齢化に伴う担い手不足等により自治会運営が厳しくなってきている現状を踏まえ, 集落支援員による地域課題の解決に向けた取組を支援することで,地域コミュニティの活性化を図り,共生・協働による住みよい地域づくりを目指します。
情報共有による住民参加体制の確立
市長とまちなかミーティングの開催や広報活動の充実により,みんなのまちづくり参加条例に基づく市政への意見の反映や,ボランティア団体・NPO法人等への支援など,市民参加によるまちづくりを推進します。
男女共同参画社会の実現
すべての人が性別にかかわりなく,その人権が尊重され,様々な分野で平等に参画し,個性と能力を十分に発揮できるよう,広報・啓発を行います。
効率的な行政運営の推進
効率的な組織機構の再編・構築,人材育成基本方針に基づく職員の資質向上,行政サービスの充実,電子自治体の構築,公共施設の適正配置及び管理・運営等に努めます。
新庁舎建築工事
令和6年9月に着工した新庁舎建築工事は,令和8年度中の開庁を目指し,着実に準備を進めます。
また,新庁舎移転後の現知覧庁舎については,施設や跡地の利活用方法を引き続き検討します。
財政運営
持続可能な財政基盤の確立に向け,中・長期的な視点から,財政調整基金の取崩しに極力依存しない自立した財政構造の確立を図ることとし,歳入水準に見合った歳出構造への転換のため,デジタル技術を活用した事務改善や事業統廃合など,歳出抑制に向けた取り組みを推進します。
また,目まぐるしく変化する社会情勢や物価高騰による影響に対応し,限られた財源による行政サービスの提供を持続的に行うため,南九州市財政計画等に基づき,健全で確実な財政運営に努めます。
行政改革の推進
高度化,多様化する市民ニーズなどに対応するため,行政改革大綱に基づき,デジタル技術の活用とあわせて,効率的で効果的な市政の実現に向けて取り組みます。
令和7年度施政方針(PDF)
この記事に関するお問い合わせ先
【企画課 企画係】
電話番号:0993-83-2511
メールでのお問い合わせはこちら
更新日:2025年04月02日
公開日:2024年04月03日